ラングヴェルト・フォン・ジンメルン醸造所
ハッテンハイマー・ヌッスブルネン・カビネット・トロッケン1989

1995年当時、ドイツのガイゼンハイム大学でワインを学びながら、

時間を見つけては、その地方ごとの有名なワイン生産者を片っ端から訪問するという生活をおくってました。

色んなワインを試飲させてもらったり、醸造について話を聞かせてもらい、

最後に試飲した中で一番気に入ったワインを1本だけ、なけなしのおこずかいの中で
購入して帰ってました。
このワインもその当時に訪問した時に気にいって買って帰った1本です。
ちょうど1989年がこの蔵の設立525周年にあたり、ラベルにもそのことがきざまれている

記念ヴィンテージです。
たしかその当時は、女性の方がいろいろワインについて説明してくださり、

あの活版印刷を発明したグーテンベルクが晩年に今飲んでいるこの地下の蔵で

よくここのワインを飲みに来たんだよと話をしてくれたのを覚えています。
お土産に買って帰った1本を飲むのがもったいなくて、
今日2009年8月までマイセラーで保管しておりました。

当り年ですが、ラインガウ地方のカビネットクラスならやはり飲み頃は10年ぐらいかと思います。

爽やかさが売りのカテゴリーですし。

そんなことも考えながら本日抜栓しました。

液面も1cmほどさがっておりました。

コルクは健全でした。

色は明るい琥珀色がかり、

香は華奢ながらあまーい蜜の香りが。菩提樹を思わせるような木質的な香も。

味わいはアタックにシェリーを思わせるような酸味が広がります。

アルコール弱めのライトなフィノのような繊細な味わいが妙に癖になります。

食前酒にでも出したらすごい食欲がかき立てられそう。

余韻まできれいに酸味が保たれ、ふっと切れていきます。

20年も熟成させてしまい、本来楽しむべき飲み方ではなかったですけど、

これはこれでその当時がむしゃらにワインの勉強をしていた頃も思いだせたし、

ワインとともに楽しいひと時にひたれました。