久しぶりにシュロスフォルラーツへ訪問。

かなり伝統のあるラインガウ地方の老舗ワイナリーでした。(過去形)
たしか前当主は元伯爵だったかなマテュシュカ氏でした。

日本でもサントリーが取り扱いをしており、日本のワイン雑誌でも
しばしば登場したのを覚えています。

サントリーの山梨のワイナリーには当時、フォルラーツとの提携を記念した
モニュメントが出来ていたくらいです。

非常に有能で、以前から料理に合うドイツワインをと模索されていた方でしたが、
有能ゆえに、かたくなに自分の目指す道へ邁進していかれ、いつしかサントリーとも
疎遠になっていかれたようです。

そんな中、サントリーは当時、経営が傾きかけていたロバートヴァイルの
再建に手腕を発揮し、ヴァイルは、10年も経たない間に名実ともにドイツの
トップワイナリーの階段を昇って行かれました。

結果的には、フォルラーツはちょうどサントリーがヴァイルに投資した額ぐらいの数億円の
借金を抱え込み、マテュシュカ氏は最後、拳銃で自らの命を絶ったのでした。

一時は大成功を収め、ワイン雑誌の取材では、多大なワインへの功績を挙げたことを問われると
まだまだ先代に比べればひよっ子みたいなものですと謙遜されていたマテュシュカ氏。

彼の死を聞いたときは衝撃でした。しかも死に方を知ったときはもっとショックでした。
今はこの銘醸は、銀行の所有となっております。

そんな話を思い出しながら、久しぶりに飲んだフォルラーツは、まるで、マテュシュカ氏が目指していたワインをそのまま受け継いだかのような、ドイツワインらしい辛口でした。

ワイナリーの人とそんなに深くは話は出来なかったのですが、この一本は心に染み入る味わいでした。