久しぶりのブログです。

ワインショップの方がさすがにこの時期ヌーヴォーの解禁前後にばたばたしていたので、
なかなかアップできませんでした。

で、木曜日に当店主催のワイン会でしっかりとヌーヴォーやノヴェッロなど8本ほど2008新酒を
堪能しました。

ボージョレヌーヴォーは6種ほど試飲しましたが、

全体的に言えることは、やはり今年は冷夏が影響したのか
小ぶりなチャーミングな出来なように思えました。

ただ、軽くて飲みやすいのが売りのボージョレヌーヴォーとしては全然美味しく楽しめる感じの
ものが多かったです。

たった数種類のヌーヴォーを利いたにすぎませんが、
2008年のブルゴーニュ赤を大雑把に推測すると、

長期熟成には向かないが、やや早くから飲み頃になりそうな、チャーミングな飲みやすい味わいの
年になるのではなどと大胆不敵にも推測してしまいました。

2008年は冷夏に多雨、さらに8月の雹と、このままでは葡萄は完熟できずに、
酸が下がらず糖度は上がらずのすっぱ薄い年になりそうな年だったのですが、

9月に入り雨の全く降らない乾燥した天候を保ってくれたため、
品質重視の生産者は収穫日をできるだけ遅く待てたのも良かったんだと思います。

9月早々に雨でも降ろうものなら、ただでさえ雹害などの後の、病害に苦しんでいたところに
火に油を注ぐようなことになり、葡萄も熟していないのに、収穫せねばならない事態となったこと
でしょう。

最後の2、3週間ほどで天候が味方してくれて、
なんとか葡萄の酸度も下がり、糖度も完熟とまではいかないまでもそこそこ熟した葡萄に
仕上がったような感じですかね。

大量生産型の
品質重視ではない生産者は、どう転ぶかわからない天候を当てにするのは恐いので
早々に収穫してしまい、結果すっぱ薄いワインを作ってしまったところも見受けられました。

今年のヌーヴォー選びポイントはやはり品質重視の生産者を選ぶということになりそうです。

そして、比較試飲を楽しみにしていた
・ルイジャド
・フィリップ・パカレ
・ルーデュモン

堪能しました!!

まずルイジャド。
相変わらずの安定感です。やはり昨年よりボディは小ぶりに感じますが、
ここのヌーヴォーは醸造法を
マセラシオン・カルボニクではなく、セミ・マセラシオン・カルボニクにして
やや普通の赤ワインの仕込みに近い造りを行なうので、出来上がったワインも
ヌーヴォーらしからぬ落ち着いた味わいに毎年なっています。

もし薦めるとすればヌーヴォー嫌いのワイン通の方にでしょうか。

そしてフィリップ・パカレ!
運悪くも彼のヌーヴォーが出来るモルゴン村は8月の雹の被害がかなりひどい地域でした。
ゴルフボール大の雹が降った後の畑は、葉は破れたり、実は皮が破れたりと悲惨なものです。

その実の皮の破れたところから菌が入り込み、病害にかかってしまうのです。

仮にも彼は自然派の造り手。こんな時でも化学的な農薬は使わず、
すべて手作業で痛んだ房を丁寧に取り除いていたようです。
頭がさがる思いです。

そして出来たワインは・・・・・

これまた小ぶりながら美味しかったです。
複雑味、凝縮感はあるのにスルリとした喉越しといったようなパカレ・テイストは感じませんでしたが、
酸はまろやかになり、味わいの調和は保たれた飲みやすいものでした。

グラスのエッジを見るに通常の新酒ならば紫がかったルビー色であるところ、
彼の今年のヌーヴォーは、すでに紅色がかっております。

通常ですとワイングラスのエッジの色は若い頃は紫がかったものから、熟成を重ねるにつれ
茶色がかってくるのですが、菌などが早い段階でついて果皮が破れていきますと
若いワインでもエッジの色がオレンジがかってしまうのです。

そういうことを踏まえると
そのエッジの色からも彼の畑での奮闘振りがうかがえました。

翌日飲みますとさらに味わいは、より弱弱しくなっておりました。
今年の彼のプリムールは、1年寝かせて飲むなどということはおすすめできない
ポテンシャルの低いものかもしれませんね。
でもおいしいんですよ。

そして、最後にルーデュモン!

縁は紫がかった薄めのルビー色。
彼の畑は風通しの良い斜面畑なので、病害に会い難いというメリットを今年はこの色合いで確認です。
華奢ながら赤い実のベリーの香。
味わいは非常に繊細!薄くはないが羽のように軽いテイストです。
昨年のヌーヴォーは凝縮感もあり重量の感じる飲みごたえのあるものだったのですが、
今年は非常に軽いボディです。それを細めの酸が閉めてくれているような味わいです。

ワイン好きの方はおそらく昨年のような重量感のある味わいを好みそうな気もしますが、
今年の味わいは、まさに「仲田テイストを見事にヌーヴォーで表現した」と思えて
すごく気に入ってしまいました。

ワインをあまり飲んだことのないというような方におすすめしたい1本です。

このワインを飲んでふと想ったのは、

白のルーデュモンのヌーヴォー飲んでみたいなあ。です。

彼の独特の優しいタッチの白ワイン・テイストを体現したヌーヴォー、出ないかなあ?

とにもかくにも長く綴ってしまいましたが、

これらの3本、僕的にはどれも満足でおいしく楽しむことが出来ました。

お店でこれらのワインを勧めるときは、今年は前述どおり、
ワイン通の方にはルイジャドを、
ビギナーの方にはルーデュモンをおすすめしたいなあと想っております。

http://item.rakuten.co.jp/wine-kinokuniya/07nouveau3hon/