ぴののさんのところで物議をかもしだした
モローのミュスカデ!
もともとJモローという生産者はブルゴーニュ地方のシャブリで有名な生産者なのですが
Jモローがロワール地方のミュスカデも造っている?という疑問がわき、
ぴののさん→たくたくさん→経由で捜査の依頼が僕のところにも。
このワインを扱っている業者とちょっとだけ取引があったので
いったいどういったワインなのか聞いてみることに!
ひょっとしたらシャブリの名門Jモローのばったもん?などとも思いつつ・・・。
電話したところ、運悪くあまりワインに詳しくない方が電話口の為、
ストレートに質問で
「Jモローはロワールのワインも造っているのですか」と聞くと
「Jモローはブルゴーニュの生産者なので作ってないと思いますと」
これは鵜呑みに出来ないなと
「おたくの扱っておられるJモローのJは何の略ですか?」と
「ジャン・ジョセフです。」と。
シャブリのJモローと同じだ!
この電話口の人に聞くよりも自分で調べた方が良さそうだと思い返し、
いろいろ調べました。
Jモロー・エ・フィス。
もともとは製樽業を営んでいたジャン・ジョセフ・モロー氏が1814年にネゴシアンとして創業。
婚姻などでブドウ畑が増えていき、ついにはオスピスからモノポール(単独畑)「クロ・デ・ゾスピス」を
購入するまでに。
1966年にジャン・ジャックが5代目当主となり、1970年には自社畑で醸造を行う
いわゆるエステートもののドメーヌ・ド・ヴィエヴィルを設立、
そして1975年にネゴシアン部門のJモロー・エ・フィスを設立。 しかし1986年には当時のビジネスパートナーに売却。さらにそれは、1997年にブルゴーニュの
そして1975年にネゴシアン部門のJモロー・エ・フィスを設立。 しかし1986年には当時のビジネスパートナーに売却。さらにそれは、1997年にブルゴーニュの
大手ネゴシアンに再度売却されてしまいます。
ただし、最初の売却時に自前のブドウ畑は売らずに個人で所有し、収穫された葡萄を
J.モローに供給するという契約を結びました。
↑この辺の契約内容が少しややこしい!
新しいオーナーは質より量を求めていたからか、
方針が合わず、前述の自前のぶどう畑の葡萄を供給するという契約の解除を
創業者側が求め、5年の猶予を持って成立し、
そこからクリスチャン・モロー(2002年)が設立されました。
一部の契約はその前に終了しており、ジャン・ジャックの息子ルイによって
ルイ・モローも設立されました(1995年)。
今創業者側のモローは2つか3つのドメーヌを小規模ながら所有し、
伝統のこだわりのシャブリを手がけているようです。
モノポールといわれているクロ・デ・ゾスピスは、今やクリスチャン・モローと
ルイ・モローが折半して所有している状況のようで
厳密にはモノポールではないのでは?
かたや売却され大手ネゴシアンに所有されたJモロー・エ・フィスは
ブルゴーニュだけでは飽き足らずか、ロワールのミュスカデやロゼ・ダンジュなどの
大量生産系ワインの生産にも力を入れているようです。
ちなみに日本ソムリエ協会教本2009には
クロデゾスピスの所有者はJモロー・エ・フィスのままになってます。なぜだろう?
ぴののさんや僕らの世代のワイン好きにとっては
シャブリのモローと言えばJモローが浮かんできますので
お店でJモローのミュスカデが売ってあると「えっ!」と思ってしまうのですが
こういうドラマがこの10年であったんですね。
おそらくどのワインも造り手が飲む人のことを思って造られた意味のあるもの。
うちのお店的にはクリスチャンやルイが気になりますが、
現Jモローも量を追いつつも品質は高いレベルで維持されているのか?
TPOに合わせてどのワインをチョイスするか
ワイン屋の店長として僕ももっともっと勉強しなくては・・・・・です。