コロナ禍のボジョレーヌーヴォー2020。

人間がコロナ禍で右往左往している中、葡萄は堅調に成長してくれました。

2020年は日本も猛暑が厳しかったように、フランスも7月末頃から猛暑日が多かったようです。

2019年の45度越えというほどではなかったらしいですが、暑さゆえ、今年の収穫日は過去最速を更新した生産者もちらほらと聞こえてきます。8月末から収穫が始まったところが多いようです。

2000年代はじめは8月収穫と聞くと「えっ!」と驚いたものですが、最近はそれも聞き慣れてきたような、温暖化が定着しているのを感じます。

葡萄の熟度は充分で品質も期待できる年になりそうです。気候が安定していたこともあり、収穫量も多くとれたようで、そんな中でも、収穫量を抑えた「実直な生産者を選ぶこと」が重要になりそうです。

収穫が早かったので、醸造にも例年以上に時間をかける事が出来ますし、病害も少なかったので、葡萄の品質も良好です。

今年は久しぶりにドミニク・ローランのボージョレ・ヌーヴォー飲みました。

ドミニクローランと言えば、元パティシエという経歴ながらも、ネゴシアンとして
頭角をあらわし、ロバートパーカー5つ星生産者に選ばれるほどの才能の持ち主。

濃厚な味わいがもてはやされた90年代には新樽200%などの奇抜な発想で、時代の寵児となりましたが、

今は「最高のブドウがあれば良いワインができる。」のフィロゾフィーの元、自然味溢れる素晴らしいワインも手掛けています。


【ドミニクローラン・ボージョレヌーヴォー・ビオ2020】

2020年産を2020年11月19日に抜栓。

エッジは赤紫がかったルビーレッドの色調。

非常にフルーティーで芳しい香りが支配的。野イチゴやブルーベリーなどの甘い香り、チューイングガムのようなニュアンスも。かすかにドライハーブや葡萄の梗のような香も少し。

口に含むと、ヌーヴォーとしては果実感控えめのドライなアタック。
果実果実したヌーヴォーが多い中、このドライなニュアンスは好印象です。
もちろんフルーティーさも健在。
ただ新酒としてだけではなく、ワインとしてもほどよく仕上がっている感じです。

香りの葡萄の梗のようなニュアンスともリンクして味わいにもフェノリックなニュアンスが。
このニュアンスが味わいに複雑さを与え、シンプルでフルーティーなだけのヌーヴォーとは
一線を画すような素晴らしい味わいになっています。

ライト~ミディアムの軽めの飲み口が心地よくヌーヴォーなのに飲み疲れしない味わいは
秀逸です。

合わす料理は
パーティーなどが多い年末に出てきそうな、魚介のマリネやスモークサーモン、ローストビーフ
などとも相性が良さそうです。

ちょっと変わった合わせ方としては、ドライソーセージやサラミ、千枚漬けなどにもマッチしますので
是非一度お試し下さい。