搾られた葡萄の汁(モストといいます)が5リットルほどの桶に貯まります。

「えっ、これだけ!」というほどしかモストが搾られません。
圧搾機から、ほんとにちょろちょろとしか搾り汁が出てこず、みんなであんなにがんばって
収穫したのにこんだけしか搾れないのかと愕然としました。
それだけ価値のあるワインなのでしょう。

マネージャーはあわただしく気象庁へ電話して、この時間のこの地区の気温を確認。
温度もクリアして、ひとまず、にんまりです。

今は、見た目はフローズン・デザートのようなじゃりじゃり状態です。
貯まったものをもう少し大き目の発酵槽へ移して、いざ発酵の準備へ。

それと並行して、もうひとつの関門、葡萄の糖度の測定です。
これはアイスヴァインと名乗る為には糖度が120エクスレ度以上なければいけないという
きまりがあり、せっかく苦労して収穫しても、糖度が足りず、アウスレーゼ・クラスの
ワインに格下げになることもあるのです。

みんな固唾をのんで見守る中、糖度測定が行われ、これもクリア。
やっとみんなの顔に安堵感があらわれはじめました。

「どうしたらおいしいアイスヴァインになるの」とケラーマイスターに聞くと、
こうするんだよと小さな木の樽をなやさしくなぜていました。
あとは自然の酵母の力に任せるのみです。

こうして、冬の一大イベントアイスヴァイン収穫は無事成功したのでありました。