今回のフランスワインツアーのパリゼ醸造所で長年の樽の疑問が解消されました。
それは樽に書いてある文字。

この画像ではDAMY AM+と書かれています。
これはどういう意味かといいますと、もちろん樽メーカーによって書き方が色々ですが、

DAMY 樽メーカー
A アリエール(樽の有名な産地です)
M ミディアム(樽の中の焼き加減 ミディアム=中 ということ)
+ ミディアムプラスということで中よりも少し多めに焼いたということです。

このほかにプラスのところがLだと「長く焼いた」とかFだと「強く焼いた」
とかあるみたいです。

ちなみに一樽約700ユーロ。十万円ほどもするんです。
もともと樽なんて何十年も使い回しが利くものなんですけど、
徐々に焦がしたニュアンスが薄れていくので、
高級なワインなどは毎年、新樽を買い換えて使っているのです。

アメリカ産の樽だと値段は半額ほどになり安いのですが、
木目が粗く、樽のニュアンスが付き過ぎるので、繊細な高級ワインなどには
やはりフランス産が使われています。

ただスペインなどでアメリカ産とフランス産のものを上手に使い分けて
素晴らしいワインを造っているところも見たことがあります。

そういうわけで、樽一つにしても、産地、焼き具合、新樽比率など
造り手の選択で色んなバリエーションのあるワインが出来上がります。

ボルドーの5大シャトーのひとつオーブリオンへ行った時には
お抱えの樽造り職人さえ居てましたし、
こないだ行ったグロ・フレール・エ・スールは樽の蓋の内側部分も焼くことによって
さらに樽の風味の強い素晴らしいワインを造っていました。

奇抜なところでは、
ひとつのワインに新樽を2回も使うという画期的な手法で「新樽200% 
ブルゴーニュの魔術師」の異名をとる「ドミニクローラン」や

「バリック(新樽)発酵」といって、醸しの段階から新樽を使うという
手法をあみ出し「ヴィネキスポ」で3万本の中から1位に輝いた
イタリア・トスカーナ地方のBBグラーツ「テスタマッタ」などもあります。

あと古樽の活用で面白いのが、
ロマネコンティで使用した樽を買い取って造ったデュペレ・バレラのワインとか、
フランスNo1貴腐ワイン、ソーテルヌの「ディケム」で使用された樽を使った
ドイツのJLヴォルフの白ワインなど、手ごろな値段で高級ワインの片鱗を
楽しめるワインもあります